特定非営利活動法人 GNC Japan

植林事業報告 2000年

モンゴル国における第4回植林事業に関する報告書
実施場所:ウランバートル郊外の農地周辺

GNC代表 宮木一平

【はじめに】
  .この報告は、モンゴル国における第4回植林事業実施に関するものである。前回までは、ドルノド県チョイバルサン市郊外において当事業を行ない、一定の成果がみられたが、今回からは後述するような理由から、場所を移してウランバートルの南西30キロに位置する農地周辺において事業を行なうこととなった。当地においては全くのゼロからのスタートであり、前回までとは違った様々な課題も浮かび上がってくることとなった。  

【事業名】 

  モンゴル国ウランバートル郊外の農地周辺における植林事業  

【事業目的】

  .当事業の目的は、モンゴル国ウランバートル郊外における新規農地周辺に防風林を造林することにより、モンゴル特有の強い風による風害から農地を保守し農作物生産を促進すること、及び、周辺地域の砂漠化防止のための緑化に寄与することである。今回は見送られたが、次回からは、当事業にあわせてウランバートル市内の農牧大学周辺に植樹することにより、都市景観及び砂漠化防止のための緑化をすすめることも計画されている。  

【事業内容】

  旧ソ連の崩壊後、急激な近代化の進むモンゴル国では、貧富の差が拡大、食糧事情も悪化し、主要な食糧を自給出来ずロシア、中国からの輸入に頼る状態にある。モンゴル国にとって食糧自給体制を確立することは急務の課題となっている。ただ、農業を行なうためには、当地特有の強風から作物を保護する防風林の整備が不可欠である。またウランバートル郊外では砂漠化が進行しはじめているため、早めの積極的な緑化も必要である。
….当プロジェクトでは、ウランバートル郊外(南西へ30キロ)に位置する規模5ヘクタールの農地(野菜畑)周辺に植樹・造林することにより、①農業振興のための防風林整備、②砂漠化防止のための緑化、両者の出発点とするつもりである。
….昨年度までは、ウランバートルから東へ600キロに位置するチョイバルサンにて同様のプロジェクトを進め、一定の成果をみてきたが、農作物の主たる消費地であるウランバートルへの輸送路確保が困難なため、今年度よりウランバートル郊外でプロジェクトを継続することとなった。
既に、春には現地スタッフが実験的な植樹(アカシヤ、ウリヤス計200本)を行なっており、マツに関しては、試験的に種蒔きを行って現在はその発育の経過を観察中である。技術面では、青森県車力村のスタッフに協力を仰いでいる。(写真①、②、参照)
….また、積極的にモンゴル国の若者(主に農牧大学と国立大学の学生)と交流し、永続的な協力関係を確立してプロジェクトを進めてゆくことを目指している。今回はツアー日程の中で、農牧大学の教師、学生10数名との交流会を催し、技術面、人的側面でのお互いの協力関係を約束することが出来た。(写真③、④参照)今後、自立の可能性が見えたならばプロジェクト全体を彼らに委ねることを予定している。また、今回からGNCは、独自にゲルを3棟保有することとなり、泊り込みでの作業が可能となった。 (写真⑤、⑥ 、⑦、参照) 

①②春植えしたウリヤスはしっかり葉をつけていた(8月)
③農牧大生との交流④農牧大の畑
⑤GNC宿泊ゲル⑥トイレ設置⑦現地スタッフ宿舎

【事業場所】

  ウランバートルより南西30キロに位置する。(地図参照)
農地の面積:5ヘクタール。
延長:約3キロ×2列(農地周囲)。  

【現地の状況】
  5ヘクタールの野菜畑 。一面砂地のような様相を呈している。ハウスが3棟。ハウス内では、きゅうり、メロン、すいか、キャベツ、稲 、トマトなどの苗が並び、内1棟では本格的なハウス栽培のきゅうりが定植されている。  
(写真⑧、⑨参照)


⑧ジャガイモ畑⑨ハウス内での稲栽培

⑩⑪.ウリヤスの根元の雑草刈り.

【事業実施スケジュール】
平成11年  9月  平成11年モンゴルプロジェクト報告書作成
平成11年 10月  育苗中の苗木、植樹した苗木の活着経過の現地スタッフによる報告
平成11年 12月  次年度に向けた植樹計画の細かい検討
平成12年 1月  平成12年モンゴルプロジェクトのツアー日程を決定し、ホームページ
                 その他により告知開始。
                 実験用に種をモンゴルの現地スタッフに送る。
平成12年5月   ウリヤス100本、アカシヤ100本を現地スタッフにより植樹。
…………………..モンゴル・プロジェクト責任者が現地に趣き 現地スタッフとゲル購入
…………………..ツアースケジュールの事前打ち合せ を行なう
……………..車力村国際交流員のメグさんの協力を得てモンゴル語版のパンフレット作成
平成12年7月30日―8月6日  植林ツアー実施
7月30日  17:30関西国際空港発。21:30(モンゴル時20:30)ウランバートル着。
7月31日  自然環境省でのヒアリング会談全記録参照。ホテルでの勉強会。議事録参照
8月1日   ウランバートル郊外の農地に移動、視察、打ち合わせ。ゲル、トイレ設置。
8月2日   作業(写真⑩、⑪、参照)。
8月3日   ゲルを撤収し、ウランバートル市内に移動。
           ジオエコロジー研究所でのヒアリング会談全記録参照
           農牧大学の副学長との面会。農牧大学内見学。 農牧大学生との交流会。
8月4日   カラコルムに移動。防風林見学。
8月5日   ウランバートル市内に移動。
8月6日   11:00ウランバートル発。16:10関西国際空港着、解散。  

【日本からの植林事業参加メンバー】
宮木一平(みやき いっぺい):GNC代表
矢野明子(やの あきこ):GNC平成12年度モンゴル植林事業 植林担当責任者
工藤宝紀(くどう いき):GNC平成12年度モンゴル植林事業 ツアー担当責任者
太田依里(おおた えり)
溝口詠美子(みぞぐち えみこ)
室永元気(むろなが げんき)
西山友香(にしやま ゆか)
山村美穂(やまむら みほ)
岸本圭史(きしもと よしふみ)
中川英之(なかがわ ひでゆき)
池田元英(いけだ もとひで)
藤原委江(ふじわら ともえ)
植木壮子(うえき そうこ)

  今回は、18歳から21歳の若者、学生が10人、HPの情報をきっかけに参加することとなった。  

GNCゲル前での日本からの参加メンバーと現地メンバー

【春植え苗木の活着率】
  春に現地スタッフによって植樹された200本の苗木(ウリヤス100本、アカシヤ100本)は、今回のツアー段階では概ね活着していた。(写真① 、②参照)
  ツアー期間に予定されていた植樹は、この時期の苗木の生育状態を配慮し、現地スタッフと相談の上、秋植えに変更した。根の発育過程がちょうど植樹をするには適さない段階にあったことが、その理由である。9月に入ってから現地スタッフが植樹することとなった。  

【作業手順】

ハウス内にウリヤスとアカシヤの苗木を育苗する。根を張った苗木を、周囲の土ごと掘り起こし、土を付着させたまま植樹する場所へ移動する。
雑草を刈り取った後、約2メートル間隔で、互い違いに2列に、深さ50cmの穴を掘り、1本ずつ手作業で植えてゆく。
植え終った後は、周囲を踏み固め、撒水を行なう。 (写真⑫、⑬、⑭ 、⑮、⑯ 参照)
今回は育苗に関しては、近隣の国立の苗木会社に頼り、ウリヤスの苗木を1本750Tg、アカシヤを1本1100Tgで100本ずつ購入した。今後は、①信頼出来る苗木会社と契約する、あるいは②育苗のための独自の畑を持つなど、安定的に苗木を確保するためのシステムを確立する必要があるだろう。  

⑫準備した苗木⑬アカシヤ植樹⑭植樹風景
⑮植樹されたウリヤス⑯撒水風景

【今後の予定と展望】
….今回は、チョイバルサンからウランバートルに移った最初の年であり、全てが実験段階に留まった。今後の育苗の時期、植樹の時期は、今回の春植え苗木と秋植え苗木の活着率を見てから決定することとなるだろう。
….また、チョイバルサンのヘルレン川に比べ、農地近くを流れるトーレ川の水資源としての潤沢さには、まだ疑問点が残る。今後、十分な専門的調査を行い、水資源を枯渇させるような危険性が無いことが証明された段階で、規模を拡大したいと考えている。
….その際に予想される問題としては、土地確保の事務手続きの問題(モンゴル国内のシステムの問題)、農作物の効率的な流通システム、販売システムの確立の問題、農業の必要性と技術の啓蒙の問題、環境教育の問題など、様々な問題が考えられる。また、風力発電の可能性も含めたエネルギー利用の問題も環境保全の観点から重要である。今から、専門家や現地の人々と協力してこれらの問題に着実にアプローチしておく必要を痛感する。
….現在植樹を行なっている農地周辺を全て囲むには1000本の苗木が必要である。当面はその作業に集中する予定である。  

【謝辞】

  今回の植林ツアーにおいて、多大なご協力を頂いた成田佐太郎車力村長をはじめとする車力村の方々、また、当団体の植林事業に対し、ご理解を頂き、助成して頂きましたイオン環境財団に心より感謝申し上げます。

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