『木を植えた男』とGNC
『木を植えた男』(ジャン・ジオノ著 フレデリック・バック絵)というアニメをご存知ですか?そこには私たちの願い、基本の姿勢があますところなく描かれています。
ストーリーは、人々が醜い争いの末、立ち去っていった荒れ果てた土地に、ある男が1人黙々と種を蒔き続け、やがて森林が蘇り、人々の幸せが戻るというものです。人間のシンプルですが強い想いと行動が世界を変える姿が、『木を植えた男』には描かれています。木を植えるというシンプルな行動から、『共存』の考え方が世界に広がると私たちは信じています。
モンゴル語版『木を植えた男』 誕生までの経緯
「厳しい条件下、果敢に立ち向かうモンゴルの仲間にも是非『木を植えた男』を伝えたい!」そんな願いからモンゴル語への翻訳が不可欠だと考えました。そして、この思いを深く受け止めてくださった当時青森県車力村役場国際交流課長の台丸谷績氏と当時国際交流員だったドルジンさんのご協力により、2001年4月、3ヶ月かけてモンゴル語版『木を植えた男』は完成しました。(翻訳するにあたり、出版社に問い合わせたところ、著作権は放棄されているとのことでした。)
(左写真)台丸谷氏 写真中央 (右写真)ドルジンさん 写真左
GNCの活動は、2002年には植林だけにとどまらず、学校とコラボレーションして『エコ教室』を実施するに至りました。その中で、次世代に夢と情熱を持って何かを取り組むことの大きな可能性を伝えていきたいと考え、この『木を植えた男』を紙芝居という形で伝え始めました。その後、「『木を植えた男』をモンゴルでもっと多くの人に見て欲しい」と願うモンゴルの仲間自らの手で2005年秋、遂にモンゴル語吹き替え版のアニメ『木を植えた男』が誕生しました。
アニメ『木を植えた男』モンゴル語版はモンゴルの学生たちにむけて上映されています。今後、沙漠化防止ポスターの配布先などで上映し、さらにはより広くテレビでの放映なども実現していきたいと考えています。
また、モンゴルでのこれらの活動の中心を担うために、GNCモンゴルがモンゴルの人たちの手で設立されました。
『木を植えた男』より
人々のことを広く深く思いやる優れた人格者の行いは、長い年月をかけて、見定めて、初めてそれと知られるもの。名誉と報酬を求めないまことに奥ゆかしいその行いは、いつか必ず見るも確かな証を地上にしるし、後の世の人々にあまねく恵みを施すもの。
ところで、たったひとりの男が、その肉体と精神をぎりぎりに切りつめ、荒れ果てた地を幸いの地としてよみがえらせたことをおもうと私はやはり、人間の素晴らしさを称えずにはいられない。
魂の偉大さの陰に潜む不屈の精神、心の寛大さのかげに潜むたゆまない熱情、それらがあって、はじめてすばらしい結果がもたらされる。この神の行いにもひとしい創造を成し遂げた名も無い老いた農夫に、私は限りない敬意を抱かずにはいられない。 (以上、「木を植えた男」より引用)
このアニメはこのようなナレーションで終わっています。
何かを成し遂げようとしつつある多くの人々に勇気と希望を与えてくれるものです。
そして、フレデリック自身が7年余りの歳月をかけて、一枚一枚描いたと言われるアニメそのものの素晴らしさは言うまでもありません。