宮木 一平

GNCが設立されてから、今年の7月7日で丸15年になる。前回の代表メッセージにも書いたように、この1年の間にスタッフに新しいメンバーが何人も加わった。先ごろ、それらスタッフ一同で、広く配布しているGNCの紹介チラシ(A4表裏)の改訂作業を行った。意見を出し合い、いろいろな文言を削ったり足したり、写真を入れ替えたり・・・。その結果、ようやく改訂版が完成した。ずっと住み続けている家で、いらなくなったものは思い切って処分し、生活しやすいように大々的に模様替えをしたような、爽快な気分を味わった。何だか随分風通しが良くなったように思う。また、それゆえに、出来上がりを眺めたとき、設立当初から、GNCの原点は実は全く変わっていないのだということを再認識することができた。

GNCの目指すものは、3つの共存(人と人との共存/自然と人との共存/過去・現在・未来の共存)である。そして、そのために5つのアクション(活動の着火点となる/人々をつなぐ/次世代を担う若者たちを応援する/一緒に学ぶ/一緒に考え、踏み出す)を行っている。“本当に役立つ国際協力って何だろう”GNCは考え、行動し続けています・・・という、冒頭の一節も変わらない。これらは、設立当初から全く変わっていない、GNCの原点だ。

これら全てに通底しているものは、シンプルさ、である。自然体と言い換えても良いかもしれない。何か迷ったときはこれらの原点に立ち返る。そして、当たり前の感覚を信じ、当たり前の一歩を踏み出す。これを続けることができれば、すごいことだ。組織としてのGNCは、今までそうやって一歩一歩進んできた、あるいは進もうとしてきた。どうやら、それ以外の進み方はしようとしても出来ないようだ。

チラシでは、冒頭の一節、3つの共存、5つのアクションときて、次に、具体的なGNCの活動を紹介している。ここは、1)人づくり、2)森づくり、3)緑あふれるまちづくり、4)苗畑づくり、5)農場づくりと、GNCの活動を具体的な5つに分けて紹介している。その中でも、これまでも何回も同様のことに触れてきたが、GNCは人づくりをとても重視している。この15年間、その思いは年々強まっている。

人づくりにまつわる、最近のうれしい話を紹介しよう。モンゴルでのエコツアーで知り合い、その後、GNCのモンゴルでの活動を支えてくれていた一人であるエンフトゥーシン君が、先日来日した。彼は、通訳をしながら一生懸命日本語を勉強してきたが、ついに夢がかなって日本に留学するための第一歩を踏み出したのだ。新聞配達をしながら学校に通うことになっている。彼と出会ったときはまだ本当に素朴な少年だった。その素朴な少年が、出会いを通じて成長し、そして「日本への留学」という形になったのだ。これは、僕たちにとってもとてもうれしいニュースとなった。

設立15年の節目の年にもう一度原点に戻り、3つの共存を目指し、今年もまた「当たり前の一歩」を踏み出していきたい。

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