2011年3月11日の大震災から1年がたった。この1年、誰もがそれまでとは違った気持ちで日常を過ごしたのではないだろうか。
GNCは、昨年5月に、任意団体のNPOからNPO法人(特定非営利活動法人)となった。これまでも、法人化の機会は何度もあったし、体制も申請のための書類も整っていた。しかし、法人化することが、GNCが「本当に役立つ国際協力」を行う上ではっきりとプラスになるのでなければ、法人化の意味は無いと考えてきた。「とりあえず法人化だけはしておこう」という考えは少しも無かったのである。しかし、ここ数年多くの企業・団体の方々からご支援をいただくようになり、社会的な責任がより一層大きくなり、信頼にたる団体であることを日々の活動実績だけでなく形式的にも社会に対して広く示すことが求められるようになった。GNCもついに法人化すべき時がきたとスタッフ一同実感するところであった。GNCとしては、今回の法人化を機に、より一層マネジメントをしっかりと行い、活動の範囲も広げたいと考えている。その一つとして、国内での「人づくり」や「森づくり」の活動にも力を入れていきたいと思っている。
9月のモンゴルエコツアーでは、2004年から毎年続けてきたモンゴルの中学生、高校生対象のエコ教室のやり方を講演会方式からワークショップ方式へ思い切って切り替えた。これまでのエコ教室にスタッフ一同限界を感じていたからである。結果、驚くほど活発でかつ面白い意見が飛び交い生徒たちの笑顔と想いがあふれた。終了後に記入してもらったアンケートには、「楽しかった」「時間がたつのを忘れた」「またやりたい」という言葉が躍った。時間にすると3時間半ほどのわずかな時間である。しかし、ここでの出会い、体験は子どもたちの心に深く刻まれ、その後の大きな成長につながるのではないかと思う。GNCの活動の大きな柱である「人づくり」のプロジェクトとして、来年度からフィールドスタディプログラムを実施する予定だが、その核となるように今年度はエコ教室をより一層充実したものに育て上げたいと考えている。
今、世界全体が大げさに言えば人類史的な大きな転換点に差かっているのかもしれない。そういった中で「何が本当の幸せなのか」という根本的な問いかけを誰もが知らず知らずのうちにするようになっていると感じる。GNCは、本当の幸せ=本当の笑顔を目指して、今年度も「人づくり」「森づくり」の活動を行う。しかし、その活動以上に、それを担う一人一人の責任感や覚悟が大切だ。その点で、僕自身がまず襟を正さなければいけない。
今回、この代表所感を書くにあたり、GNCのスタッフに多大な迷惑をかけた。僕が締切に間に合わせなかったために多くのGNCの業務に支障をきたす結果となってしまった。GNCの代表としてまことに恥ずべきことである。スタッフ、そしてGNCを応援してくださっている多くの方々に深くお詫び申し上げる。どんなに、大きな目標を掲げて立派なことを宣言していても、日常の目の前の一つ一つの仕事を責任感と覚悟を持って遂行するということが出来ていなければ、単なる空虚なスローガンに過ぎなくなる。目の前の一つ一つの仕事の積み重ねの先にこそ、GNCの目標とする3つの共存があることを深く心に刻んで、新しい1年をスタートさせたいと思う。