宮木いっぺい

「NGO・NPOの可能性も限界もある程度体験した今、GNCに求められるのは、何らかの目にみえる結果、形です。」
「今年の目標を一言で言えば、21世紀を準備する人と人とのつながり(ネットワーク)を作り上げたいということです。」
昨年の代表所感の中でこのように述べました。そこで、GNCは2000年に何が出来たのか、その点をまず確認したいと思います。

活動の3本柱にそって列挙してみます(詳しくは、HP上に報告書を公開しておりますのでそちらをご覧になって下さい)。
1.モンゴルプロジェクト→GNC所有のゲルに20歳前後の若い参加者10数名(その中には大阪府大の海外農業研究会のグループもいました)とともに泊り込み、GNCのモンゴル人スタッフツォゴさんの農場で作業をしました。関係諸機関での聴き取り調査、モンゴル農牧大学の学生や先生との交流会を行い、次につながる信頼関係をスタートさせました。
2.シンポジウム・研究会→植林をテーマに4NGOの代表、1研究者がパネリストとなる研究・活動報告&意見交換の会を開催しました。今後も毎年共同で開催してゆくことを誓い合いました。
3. ネットワーク活動→フリーマーケット参加、各種シンポジウム、イベント参加などを行いました。

これらを振り返ると、まだまだ不十分ながらも、方向性だけは当初の目標から大筋ではずれることが無かったように思います。ただ、この「不十分」な点は単なる量的な問題ではないことを十分に直視しなければいけないことも事実です。そのことを次に検討し、そのうえで今年の目標を述べたいと思います。

GNC緑援隊が96年から毎年訪れているモンゴルでは、昨年に引き続き今年も雪害の被害が深刻です。モンゴルの雪害は、多様な問題(たとえば、援助のありかた、固有の文化に対する配慮のありかた等)を私たちに突きつけてきます。そしてそれら1つ1つの問題が、モンゴルにアプローチする際に自らが拠って立つ場所をあらためてしっかり認識することを私たちに迫るのです。

自らが拠って立つ場所を考えた時、NGOには大きく2つのタイプがあるように思います。一つは、災害時などに即戦力として緊急支援を行なうタイプ、そしてもう一つは、社会のしくみを長い目でみて共同で育ててゆくタイプです。病気や事故を例にとればわかりやすいかもしれません。急病患者や今しがた交通事故にあった重傷患者に対しては、医者が緊急に手当てをすることが肝要です。一方で、病気にならないための予防法や体質改善の仕方を考え広めたり、交通事故を無くすための仕組みを工夫することも大切です。

この例からも明らかなように、どちらのタイプの取り組みも必要欠くべからざる存在です。ただ、GNCの限られたマンパワー、資金力、そして何より設立した時の理念を考えた場合、後者タイプ、すなわちじっくりと新しい流れを作り上げてゆくことに全力を傾注すべきですし、そういうことがGNCの出来ることだというのが、現段階での私の結論です。そのことを再確認したうえで今年の目標を以下で述べます。

(1)モンゴルプロジェクト→昨年に引き続き、環境への負荷に対する十分な調査をしつつ、食料自給体制確立のために農地周辺の防風林作りを慎重に継続します。砂漠化防止のための緑化プロジェクトをスタートさせます。
(2)シンポジウム・研究会→ 昨年と同様に複数団体合同の研究・活動報告&意見交換会を開催します。モンゴルでも、現地NGO、研究者、学生等と合同の研究・活動報告&意見交換会(環境・植林と経済をテーマに)を開催します。これは今年がスタートです。
(3)ネットワーク活動→昨年と同様の活動を継続します。モンゴルの小学校を訪問して、紙芝居をし、一緒に記念植樹を行ないます。交流と教育・啓蒙のための具体的活動のスタートです。

ゆっくりと慎重に、しかし着実に歩を進めてゆくことが、何より大切です。

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