宮木 一平

<思いやり、リスペクト、笑顔>

人が一人で出来ることは極めて限られている。社会の中で何等かの活動をするには、 常に複数のメンバーが助け合わなければならない。とりわけ明確な目的を達成するために集まった集団ならばなおさらだ。
僕は大学で、通常の講義形式の授業以外にいくつかのプロジェクト型授業を担当している。いずれの授業でもクラス内にいくつかのチームを編成し、それぞれ企業や商店街のコンサルティングや地域づくりのプロジェクトに取り組む。学生には最初に、目的を効率よく達成するのに必要なチームマネジメントの基本的な見方・考え方を伝え、ワークショッ プの中で一緒に考える。そこで最も重視しているポイントは以下の通りだ。

1)メンバー間の役割分担(担当・時間)
各メンバーの強みをいかし役割分担する。仕事の負担が平等になるように工夫する。

2)メンバー間の情報共有
情報共有の仕組みを具体的につくる。情報の非対称が起こらないようにする。
3)メンバー間のコミュニケーション

出来る限りフェイス to フェイスで意見交換する時間を増やす。それを、捻出するよう工夫する。
ただ、これらは具体的な方法論であって、その前提となる基本の姿勢が何より大切だと 強調する。基本の姿勢とは?目的、すなわち誰を「笑顔」にしようとしているのかをチーム内で十分に共有し、お互いを「思いやり」、「リスペクト」する姿勢、これである。
ただ、きれいごとに聞こえるらしく、最初の段階では聞き流されてしまうことが多い。様々な困難を乗り越え最終成果報告会を終えてはじめて、その意義と大切さがわかったと言う学生が多い。実際にチームが動き出す前にレクチャーとワークショップでいくら「理 解」した気になっていても、本心では「そんなこと当たり前だよ、わかりきったことさ」 と他人事のように受け止めてしまうのだ。本当には身に染みてわかっていなかったこと、 いわば体感していなかったことに最後になって気づくのが常である。
プロジェクトマネジメントの本は書店に行けば一つのコーナーを占めるほど沢山ある。そこには様々な方法論やノウハウが語られている。しかし、「思いやり」「リスペクト」「笑 顔」といった基本が無くして、いくら立派な理論を積み上げても、本当のチームは出来上がらない。チームとしてどこかギクシャクしている時、壁にぶつかっている時は、自分た ちの真の目的は何だったのか、すなわち誰を「笑顔」にしようとしているのかが曖昧になり、チームメンバー同士「思いやり」「リスペクト」することが少し疎かになっている可能性がある。
GNC という組織名は、共存を目指したグローバルなネットワーク(人と人とのつながり) を意味している。今年 7 月に設立してから丸 20 年を迎える。GNCにとっても、今一度その基本を見直すことが 20 年の節目に何よりも必要なことかもしれない。

2014年度 代表所感
2013年度 代表所感
2012年度 代表所感
2011年度 代表所感
2010年度 代表所感
2009年度 代表所感
2008年度 代表所感
2007年度 代表所感
2006年度 代表所感
2005年度 代表所感
2004年度 代表所感
2003年度 代表所感
2002年度 代表所感
2001年度 代表所感
2000年度 代表所感
1999年度 代表所感
1997年度 代表所感

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です